海外旅行保険のポイント
海外旅行保険はほとんどの人が、なぜ必要なのかも、補償内容もがわからないまま、「なんとなく」加入していらっしゃることが多いように思います。
しかし、旅行会社まかせにしてしまったり、空港で出発前に急いで加入したりすると、補償が足りなかったり、逆に無駄な保険料を払っていたりするかも知れません。
また、最近はクレジットカードに付帯している海外旅行保険もあるので、それ以外にプラスして海外旅行保険に入る必要があるのか、といったご質問も多くいただきます。
そこで海外旅行保険の必要性や基本的な補償内容、クレジットカードに付帯している海外旅行保険の注意点についてご案内させていただきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
☆海外旅行保険の必要性に入ってないととんでもない出費をするはめになる
——————————————————————————————–
結論から申し上げますと、海外旅行保険は絶対に必要です。
なぜなら、病気・ケガなどで医者にかかった場合、とんでもない医療費が請求されるからです。
例えば、日本国内で盲腸(虫垂炎)になり入院手術をしたときは、平均的に入院は1週間、費用は10万円程度です。ところが、海外ではこうはいきません。
ホノルルでは250万円前後、ロサンゼルスでは200万円前後、ロンドンでは150万円前後と、目が飛び出すほどの金額がかかってしまうのです。
実は日本の健康保険には「海外療養費制度」という制度があり、日本の健康保険は海外での治療費も給付の対象となっています。
ただし、国内と同じ「3割負担」では済まないと考えてください。「海外療養費制度」で負担してもらえるのは、あくまでも「日本で同じ治療を受けた場合」の治療費の70%です。
したがって、自己負担額が大きくなってしまう可能性があるのです。
具体的に見ていきましょう。
【参考例】 アメリカで治療を受けて医療費が20万円かかって、もし日本で同じ治療を受けたら10万円かかるとします。
この場合、健康保険から給付される海外療養費は、日本の医療費に換算した金額の70%ですので、 10万円×70%=7万円(海外療養費) です。
そして、実際に支払ったアメリカでの医療費は20万円なので、自己負担額は 20万円-7万円=13万円 となります。
これが日本であれば、健康保険がきいて10万円の「3割負担」で自己負担は3万円ですみます。
つまり、国内で治療を受けた時と比べて10万円以上も高く医療費がかかることがわかります。
また、海外で救急車を呼ぶと5万円近くかかる都市もあり、健康保険ではカバーできない様々な費用が発生することもあります。
海外では日本より多額の医療費がかかることを理解すれば、海外旅行保険の加入は必然と考えられるのではないでしょうか。
☆海外旅行保険の補償内容
——————————————————————————————–
(1)自分のケガや病気に対する補償 海外旅行保険で最も請求が多いのが、ケガや病気に関するものです。
病院に支払った治療費や入院費、通院のための交通費や診断書の作成料などが対象になります。
また、ごく一部の会社では持病も対象ですが、原則として歯科治療は対象外です。
(2)他人に損害を与えた場合の賠償金をカバーする補償 他人にケガをさせてしまったり、他人のモノを誤って壊してしまったりしたときの賠償金をカバーするものです。
例えば、レンタルWi-Fi機器を、無くしたり、壊したり、汚したりしてしまった場合に補償の対象となります。
(3)身の回りの持ち物の損害補償 身の回りの持ち物が壊れたり、盗まれたりしてしまったときに、被害にあった品物の修理費または時価額を受取れます。
ただし、通貨や小切手、クレジットなど現金によるようなものは対象外です。
その他には、預けた手荷物の到着遅れによる損害や、飛行機の出発遅れによる損害、弁護士費用などをカバーしてくれる補償などがあります。
保険会社によってラインナップが異なることもありますので、自分にはどのような補償が必要か考えて組合せるようにしましょう。
☆クレジットカードの海外旅行保険のメリットと注意点
——————————————————————————————–
ぜひ、活用していただきたいのが、クレジットカードに自動付帯している海外旅行保険です。
特に「ゴールドカード」等は年会費が1万円以上かかりますが、手厚い補償やサービスを受けられるのが魅力です。
年に一度は海外旅行に行く、という方であれば、その都度わざわざ任意で保険に入るよりも、クレジットカードに付帯した方が断然お得になることがあります。
しかも家族がいる場合、家族カードでお得に備えられることもあります。
今ではカードの年会費を抑えつつ、海外旅行保険に手厚いカードも発行されていますので、クレジットカードの比較サイトなどで年会費と補償内容のバランスについて調べてみるのをおすすめします。
ただし注意していただきたいのですが、カードによって適用される条件が異なります。クレジットカードの海外旅行保険には「自動付帯」と「利用付帯」の2種類があります。
「自動付帯」はカードを持っているだけで自動的に補償されるものですが、「利用付帯」は何らかの利用条件を満たして初めて適用されるようになっています。
ゴールドカードや航空会社系のクレジットカードは「自動付帯」となっていることがほとんどです。
しかし、年会費無料のクレジットカードでは「利用付帯」となっていることが多いので注意してください。
利用付帯の典型的な利用条件としては、例えば以下のような支払いにクレジットカードが利用された場合です。
・飛行機代や、空港までの交通費
・パックツアーの代金
ただし、90日以上の長期間にわたる留学や出張などの場合は対象外です。
このような場合は任意で加入する海外旅行保険の中でも「留学・出張プラン」を選ぶと良いでしょう。
海外旅行保険で特に重要なのは、海外で病気やケガになった場合の医療費等の補償です。
クレジットカードに付帯されている場合もありますが、対象とならない補償や保険期間があります。
ご自身が海外旅行に行く前には、必ずカード会社に補償内容を確認するようにしましょう。
☆医療保険に加入されている方
国内生命保険会社の医療保険にご加入中の方は、入院や手術給付金が海外の治療でも原則、給付対象となります。
海外で入院や手術をして保険会社に給付請求がまだの方は、保険会社のコールセンターまでお問い合わせください。